〔1〕集合から乗船まで
 7月17〜18日に鹿児島を訪れた折、帰着した大阪南港かもめターミナルで、見学会のチラシを発見し、さっそく参加を決定。
 実はこの手のイベントは初参加で、やはり楽しみは船の心臓部であるブリッジの見学だ。連れてきて喜ぶような小さい子供がいるわけでもなく、“大きなおにいちゃん”はひとり胸を高鳴らせながら当日を迎えたのだった。
 会場は大阪南港コスモフェリーターミナル(ATC乗り場)。先着30名(幼児を除く)で締め切りとなるので、11時からの受付に対して気合を入れて10時に到着したが、すでに先客が4人。いずれもやはり“大きなおにいちゃん”ばかりだ。やがて子供連れファミリーなども続々と現れ、受付15分前ころまでには定員満杯となった。
 停泊中といえども船は船、通常通りに乗船名簿を記入して受付に提出。あとは集合までファミレスで時間をつぶす。

 11時50分、待合室に集合した一同に参加証が配られ、諸注意の後、
 いよいよ見学に出発。ターミナル2階の乗船口からブリッジを進むが、
 通常の乗船に使うタラップは接続されていないので、途中から階段で
 いったん地上の一般道に降りる。会社側の係員は説明役1名が先導、
 フォロー役の2名が最後尾まで気を配りながら参加者を誘導していく。

 フェンスの業務用扉が開放され、「関係者以外立入禁止」エリアに進入。
 すでに非日常感が満載である。

 タラップを使わない、ということは・・・
 「今日はこちらの車両乗船口から乗り込んでいただきます」のアナウンス。
 いよいよただごとではなくなってきたではないか。

 スリップ止めでゴツゴツした足元に注意を払いながら、勇んで乗船。
 普段通れないところから乗り込んでいるということについて、今日参加して
 いるお子さん方は、事の重大さ、というか有り難さをわかってないだろうと思う。

 トラックドライバーの気分で下層の車両甲板を進む。
 一種のモノコック構造、とでもいうのだろうか、巨体の中はがらんどう。
 側壁面以外には柱も少なく、多数の梁が差し渡されて船体の強度を
 維持していることにあらためて驚かされる。
 

 さらにランプウエイで上層の車両甲板へ。これもめったに通れない。

 鋼体の巨大さ、重厚さにただただ圧倒される。

 振り返って見れば、気分はトレーラーヘッドのドライバー。

 いよいよ船室入り口へ。ここより上層階には車両を積まないので、
 天井の梁もそれほど太くはないことがわかる。

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